中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3153回
金本位制に戻ることはあり得ません

石油が暴騰したり、食材が値上がりすると、
誰でも資源株に注目するようになります。
なかでもすぐピンと来るのは金及び金鉱株です。
とりわけドルが大下がりに下がると、
紙より金だと早合点する人がふえます。
なかには金本位制に戻った方がいいと主張する人さえあります。

金が通貨として使われたのは、
人手から人手に渡ってもさしてすり減らない金属だったことと
金ぴかりして稀少性があったからだと思いますが、
どうして通貨でなくなったかというと、
持ち運びに不便なことと、
巨大化する取引の仲介をまかないきれなくなったからです。
ですから最初は紙幣が金の代役になり、
いつでも金貨に交換してさしあげますという条件で
紙幣が通用するようになったのですが
流通手段として国家が保証することに人々が慣れるようになると、
通貨の役割を果たすのは
必らずしも金である必要はなくなってしまったのです。
というより産出量の有限な金では
その役割がはたせなくなってしまったのです。

ですから紙幣が信用されなくなったとしても
通貨が金に戻ることは先ずないと言ってよいでしょう。
すると金の値打ちはどこにあるのかと改めて考えて見ると、
金歯の素材としてもだんだん役に立たなくなっているし、
装飾用の貴金属としての役割も
ごく限られるようになってしまいました。
それでも金は貴金属を代表するものであり、
一定の市場価値を保っているので、
通貨としての紙幣の信用がゆらぐと、
いつも注目を浴びるようになるのです。

ドルに対する信頼感がゆらぎ、
資源高が人々の関心を集めるようになると、
必らず人気を呼ぶのが金です。
そのおかげで金鉱株もかつてない高値をつけます。
しかし、もともと実用性の高いものではありませんから
利鞘を稼ぐ手段にはなりますが、
産業界に付加価値をもたらすものではありません。
それでも金貨とか大判小判を見ると
目の色を変えない人の方が少いのです。


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2008年10月27日(月)

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