中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3125回
内需が中国の経済成長の牽引車になる?

かつての日本は資本も資源もない国で、
その上、敗戦という逆境の中で経済成長がはじまったので、
日本人が自力で経済成長に励んで
世界を代表するような富裕国にのしあがると予想できた人は
ほとんどいませんでした。
日本の経済成長がはじまった頃に、
フランスを訪れた池田勇人首相は
「トランジスターの売り込みに来たのか」
とフランス人の嘲笑の的になりましたが、
いまの日本人はあの頃のフランス人の立場まで
後退してしまったのでしょうか。
それでも日本経済は内需を中心に成長を続けたのですから、
中国に同じことが起っても決して不思議ではないのです。

日本人の中には日本が経済成長できたのは
資源を輸入して加工に成功して外貨を担ぐようになったからだ
と思い込んでいる人が少くないと思いますが、
日本の富がふえて行く過程で日本の輸出は
国民総生産の10%(為替レートの変動で、多くて12%)
を占めているにすぎません。
日本のような資源貧乏国でも工業化に成功すると、
国内需要の拡大だけで
日本の国の富をふやして行くことができたのです。
それと同じことが今後、
中国でも再現される可能性があると私は見ています。

いま既に中国では賃上げ斗争がはじまっています。
日本では組合を砦にしてストを武器に会社と戦いましたが、
中国では会社を辞めて他社に鞍替えすることによって
賃上げに成功しています。
今後、それが年中行事化すれば、
賃上げが有効需要を生み出し、
消費が年々拡大して行くことが考えられます。
輸出は今後も世界的規模でふえ続けるでしょうが、
それを上廻わるスピードで内需が拡大すれば、
内需の増大だけで成長を維持して行くことは可能なんです。

もちろん、輸出と内需では内容も違うし、
産業界の先頭を切る企業も変わります。
そうした番付けの入れ替わりを正確に読み取ることが必要です。
しかし、一番重要なことは内需の拡大が
経済成長の牽引車になれることを承認するかどうかです。


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2008年9月29日(月)

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