第3124回
中国では今後も10%前後の成長は可能
中国の経済成長が北京オリンピックを境として
第二期に入ったことは前にも申し上げた通りです。
第一期はコピーの時代で、
よその国のやっていることをそっくり眞似て、
同じ物をもっと安い値段でつくることによって、
「世界の工場」にのしあがる動きでした。
それでも所得が10年に3倍になる成長を2回もくりかえしたので、
人々の生活レベルも目を見張るほど向上し、
外貨も2兆ドルに及ぶほど貯まりました。
その成長ぶりに対しては、
やっかみもあって、
いまに駄目になる、いまに国まで滅びる
というハヤシが絶えませんでしたが、
オリンピックが近づくと、
サブプライム・ローンの失敗に端を発した
世界的な金融不安がはじまったので、
いよいよこれで中国もおしまいだと早とちりする人もあれば、
いやいや、これから中国の本格的な成長がはじまるんだ
という見方に大きく2分されてしまいました。
世界的金融不安の影響は決してあなどれませんが、
私はオリンピックを境として
これから中国のオリジナルの経済発展がはじまる
第二の成長期に入るという見方で、
とりあえずは公共投資を中心とした
景気振興策が牽引車になるけれども、
内需の拡大が少しずつ輸入と入れかわって
経済の成長は続くと見ています。
しかし、アメリカ発世界の大不況がはじまったところですから、
輸出にも逆風が吹くし、
金利も下がるし、産業界全体が投資に慎重になりますから、
石油の値上がりも下火になるだろうし、
物価の値上がりにもストップがかかって、
インフレ傾向がデフレ傾向に
とって代わられる時代に入るきざしが見えてきました。
そんななかで
はたして中国だけがオリジナルの高度成長を続けられるのかと
首をかしげる人も多いと思いますが、
中国経済は成長にエンジンがかかるようになったので、
内需の拡大を中心に自力で
10%前後の成長を今後も続けられるのではないでしょうか。
構造的にそれは可能だと私は見ています。
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