第3123回
世界資本の次の活躍舞台は中国へ
リーマン・ブラザーズ証券の倒産はウォール街だけでなく、
世界中に衝撃をあたえましたが、
これでアメリカの金融不安が終わりに近づいたわけではありません。
お金の動きは借りたり貸したりでずっとつながっているので、
借りた方が倒産してお金が返せなくなれば、
貸した方のふところに響いて、
お金を持っていた筈の金融機関が倒産の連鎖反応を起します。
中国の大銀行にしても
サブプライム・ローンと直接関係がありませんが、
アメリカの代表的な証券会社や銀行にお金を貸したり、
債券を買ったりしていますから、
同じような目にあわされます。
恐らく香港やシンガポールの有力銀行にも
似たような債権の不良化が続出していると見るべきでしょう。
銀行は本来、
取引先の企業に融資するのが本業ですが、
貸付金の管理に神経を使うよりも、
絶対安全な債権の買い入れで収入を得る方が楽ですから、
気がついて見たら
資金のかなりの部分をそうした債権に投入しています。
日本の地方銀行でさえそうした投資で被害を蒙っていますから、
もっと国際的な資金の行き来の激しい東南アジアの銀行が
同じ目にあっていないわけがありません。
地元の企業の面倒を見るという本来の仕事は手抜きをして、
居眠りをしていてもつとまるやり方をしてきたのですから、
罰当たりの番がまわってきたとしても決して不思議ではありません。
しかし、失ったのはお金であって物ではありませんから、
最終的にはアメリカの政府がドルを印刷して
不足分の埋め合わせをすれば一応の片はつきます。
そうは言っても明日にも片づくわけではありませんが、
広い世界には金融不安の被害を蒙らずに
次の活躍舞台を探している資金がまだまだたくさんあります。
それらの資金が次に動き出すのはいつか、
またどちらに向って動き出すのか、
その舞台はどこなのか、
を世界中が見守っています。
そう言った意味で次の舞台になるのは
中国以外にないと私は見ています。
ちょうどオリンピックのあとの日本がそうだったように。
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