中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3122回
海外投資は円建てで勘定するな

日本人は日本円を使って生活をしているので、
物の値段の高い安いを判断する時も、
自分の財産を勘定する時も円で勘定します。
当然なことですが、中国株を買ったり、
香港やベトナムで投資をする時もいちいち日本円になおして
儲かった、損をしたの勘定をします。

それで別におかしくはないのですが、
日本円と投資先の通過の間には為替レートの変動がありますから、
現地の通貨での上がり下がりのほかに、
レートの動きを加算しなければなりません。
そうなると、折角、現地でお金が儲かっても、
日本円になおすと損になることも起ります。

ですから海外投資をする場合は
長い目で見て投資先の通貨が強い通貨か、
それとも弱い通貨かを予め考慮に入れておく必要があります。
私がアメリカでの投資を嫌がるのは
ドルは次第に弱くなる通貨であると私が見ているからです。

かって1ドル200円の時に
アメリカで不動産を買ったことがあります。
投資物件は5割も値上がりしましたが、
1ドル220円が150円まで円高になってしまいました。
すると値上がりしたと言ってドルでは所得税を払わされたのに、
円になおして持って帰ると逆に足が出たことがあります。
だから海外で投資をする場合、
対象になっている物件が強い通貨で評価されるものか、
弱い通貨で評価されるものかを先ず研究しておく必要があります。

私たちがいま香港で投資している中国株は
ドルにペッグされている香港ドルで相場が立っていますが、
投資の対象は中国株であり、
儲けも財産の評価もすべて人民元で計算されていますから、
人民元が強い通貨か、弱い通貨かに対する認識があれば事足ります。
ですから、それを毎日、日本円に換算して
今日はいくら値上がりしたと言って喜ぶことに
大した意味はありません。
はじめる時に考えた通貨事情に決定的な変化がなければ、
現地の相場だけを気にすれば事足ります。
いつ持って帰るか、心配する必要はほとんどないのです。


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2008年9月26日(金)

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