中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3036回
ベトナムにアジア金融不安のかげが

いまベトナムで、
かつて10年前にタイで起ったような
金融不安に似た経済現象が起っています。
もうこれで1ヵ月以上も株価が下落を続け、
株価平均が半分になってしまいました。
早くからベトナム株に目をつけ、
上昇の波にうまく乗ったぞと小躍りしていた人たちは
青くなったり、赤くなったり。

そうした角度から見ると、いまのベトナムの経済環境は
10年前のタイによく似ています。
タイでも金融不安におちいる少し前に経済成長がはじまり、
海外からの資金流入が激増していました。
また工場を移動してくる光景もよく見られたし、
土地の買い漁りも起っています。
しかし、一わたり建設が終わると、
予想したようには業績も伸びなかったし、
国際収支も改善されなかったので、通貨の弱含みが続きました。
そこを狙って、国際的な投機筋がバーツの投げ売りに出たので、
あッという間にバーツの値打ちが半分におち、
政府の外貨準備が危機状態におちいってしまいました。
それが似たような通貨事情にあった
韓国、インドネシア、フィリピンに伝染して、
いわゆるアジアの金融不安にまで拡大したのです。
タイの発展にお金を融資したのもドル資本なら、
バーツの投げ売りに参加したのもドル資本です。
考えてみれば、それと似たようなことがベトナムに起ったとしても
不思議ではありません。
いまのベトナムの通貨事情は
10年前のタイによく似ているのですから。

皆さんもご存じの通り、私もベトナムの将来性を高く評価し、
証券会社を設立する準備をすすめています。
まだ準備中で払い込みには至っていませんでしたので、
すんでのところで株安の損をかぶらないですみました。
でもこのくらいのことで
ベトナムに対する思いを変えることはありません。
経済は悪くなれば、またそこから恢復に向います。
高値からスタートすると大波をかぶりますが、
底値からスタートすれば思わぬ好運に恵まれます。
注意深く今後の動きを観察する必要がありますが、
恐らく年末頃になったら、
また皆さんとベトナムを訪れることになるでしょう。
それにしてもラッキーだったなあと
胸を撫でおろしているところです。


←前回記事へ

2008年7月2日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ