中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2962回
売上げ利益率に先ず注目して下さい

昔々、もう十何年も前のことですが、
上海の耀華ピルキントンの工場を見学に行ったことがあります。
まだガラスの生産ラインが一列しかなかった時のことですが、
年間売上げ5億元に対して計上益が何と2億元もありました。
工業生産で計上益が40%にものぼる企業など
日本ではとても考えられないことでした。
「中国の工業生産って途轍もなく儲かるんだな」
と強烈な印象を受けたことがあります。

むろん、そんなことはいつまでも続くものではありません。
競争相手が現れる度に、計上益率は下がる方向に動きます。
ライバルの多い業種ほど利益率は低下します。
しかし、
工業の方が商業よりも利益率が高いことはいまも続いているし、
また同じ工業でも業績もしくは企業によって
利益率に大きな差があります。
いくら売上げの伸びが大きくても、
利益率の低い企業の利益はそんなに大きくは伸びません。
反対に売上げ率の伸びが低くとも利益率の高い企業の計上益には
目を見張らせるものがあります。
従って企業の将来性や株価の伸びを予想する時は、
何はさておいても収益率に注目する必要があります。
私が山東羅欣や中国消防のような企業にこだわるのは
その対売上げ利益率の高さに心をひかれるからです。
特に株価の低迷が続いたあと、
どこから株が買われるかというと、
先ずどのくらい利益が伸びるかどうかが
最大のポイントになる筈です。

そういった意味では、電力とかガスとか石炭、石油など
料金の値上げをコントロールされている業種は
統制が解除されるまで気長に辛抱することを要求されます。
反対に不況の梃子あげと景気づけにお金の使われる業種には
すぐ陽が当ります。
私がオリンピックのあとに景気の落ち込みを防ぐために
政府が大量の公共投資をするだろうと予想したのは
ことしの秋口になるとかなりはっきりした数字と経済現象になって
皆さんのお目にふれるようになると見ています。


←前回記事へ

2008年4月19日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ