中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2961回
消費関連の下値は買いというけれど

中国では年々、所得の伸びが激しいので、
消費関連がいいと言われています。
人民元の切り下げによって、
繊維加工や家電の輸出が頭打ちになっても、
国内の伸びがそれをカバーしてあまりあるから大丈夫だ
という物の見方もあります。
事実、デパートの中の人だかりを見ても、
スーパー・チェーンの拡がりを見ても、
また家電製品の大型チェーン店の売上増を見ても、
いずれもまだ成長期にあることは否定できませんが、
売上げに比して経常益が
他業種に比べて異常に低いことが気になります。
売上げに対する経常益が2%とか、3%は
日本の上場企業の平均経常益に比して
決して低くはありませんが、
中国では他の業種に比べると、
5分の1とか、物によっては10分の1にすぎません。
何といっても中国人は商業の民で、
流通業には従事する人が多くて、
それだけ競争が激しい分野だと結論づけるよりほかありません。

商品の売買業は必らず売れ残りが生じます。
その整理のために年中、大売出しをやります。
顧客の方もそれになれて、
ふだんはショーウインドを見ているだけで、
大減価の時にドッと集まって来ます。
つまり大売出しで利益を出すのが中国の流通業です。
それに対して、同じように所得の増大を当てにする不動産業は
ブームの時が商売になる時で、
それが下火になると売れ残りが在庫になってしまいます。
金ぐりの悪い不動産業界は
そういう時に不渡りを出したりしますが、
財務のしっかりした企業は
在庫を抱えたまま次の好況まで待ちます。
すると在庫が必らずもっと高くなるので
不良在庫を抱えたことになりません。

デパートも自動車メーカーも
売れないで手元に残った在庫は値下がりする一方ですが、
不動産屋には不良在庫はないのです。
ですからいくらデパートの商品がいいぞと言われても
私は飛び出して行く気がしません。
不動産業者が不況におちいって
株価が半分まで落ちてくるのを待ちます。
優良不動産業者の在庫とデパートの売れ残りはわけが違うのです。


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2008年4月18日(金)

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