第2942回
きょうは私の84才の誕生日です

きょうは私の84才の誕生日です。
ことしはネズミ年ですから、
私にとって生まれてから
７回目のネズミ年だということになります。

内田百聞さんは自分の誕生日を「もういい会」と名づけて、
「まあだだよー」とまだ死なないあかしにしていましたが、
私の場合は「猫を噛む会」とでも名づけたらいいのでしょうか。
窮鼠は追っ詰められて逃げ場がなくなると、
猫にだってかみつくのです。

私の人生は強い立場だったことは１回もありません。
日本の植民地台湾に生まれて思いっきり差別もされましたが、
子供の時は身体が弱くて、体力がなかったので、
ラグビーをやった時も、球を手から離したあとでも、
それ見よがしに投げとばされました。
どの位置にいたら、トライができるか考えて、
いつもその位置にいたからです。
またそれだからこそ力は強いが、
頭を使わない連中から癪のタネにされたのです。

私より体格もよくてぶん殴っても死にそうもなかった連中が
戦争に行って二度と帰って来なかったのに、
私のようなへなちょこがこの年まで生き伸びているのです。
いまも若い時に負けず
アジア中をとびまわって新しい時代を予言したり、
年に５つや６つは新しい事業のパイオニアをつとめています。
まるでいつまでも生きている積りに見えるでしょうが、
ことしはチベットに行くのをとりやめたくらいですから、
やはり寄る年波には勝てなくなるのでしょうね。

「ハイハイＱさん」もそういつまでも続かないと思いますが、
頭が普通に回転している限りまだやめない積りです。
相変らずの憎まれ口を
喝采と憎悪の声に包まれて叩いていますが、
どうかせめて今日１日くらいは
私を猫を噛むところまで追いつめないで下さい。
きょうの夕方は、丸ビル36階のモナリザで、
河野透さんに腕をふるってもらって、
ごく親しい友人や後輩に囲まれながら
楽しい一夕をすごすことになっています。