中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2940回
ジャパン・ダラーはどうする積り?

オイル・ダラーがアメリカの金融資本の大株主に、
またチャイナ・ダラーが世界の資源産業の大株主になるとして、
ではジャパン・ダラーはどこに投じられるのでしょうか。

日本人は物づくりが得意ですから、
日本国内で物づくりをして世界中のドルを稼ぎましたが、
お金を動かしてお金を稼ぐことは
どちらかと言えば苦手の方ですから、
折角儲けたお金を
低金利でアメリカの銀行や機関投資家たちに借りられ、
ドルを稼いで大きくなった物づくり企業の株を
次から次へと買い占められてしまいました。
しかし、今度はアメリカのバブルがはじける番ですから、
3番目くらいに位置しているジャパン・ダラーは
どういう動きになるのでしょうか。
恐らく日本の企業も日本の個人投資家も
まだ真剣になってそれを考える立場まで
辿りついていないのではないでしょうか。

工業化に成功して豊かになった日本では、
富の分配にあずかった人々が中流社会を形成し、
後続する国々の人々に比べれば
一足先に金銭的な余裕を持つようになりましたが、
それらの人々のお金を集めて
「お金でお金を儲ける」ビジネスに秀でたシステムは
までできていません。
日本の銀行や証券会社は
政府主導の輸送船団の一員というのが多く、
村上ファンドやホリエモンなどは
恐らく芽の出たところで摘まれてしまう環境ですから、
アメリカのブラックストーンとか、
ウォーレン・バフェットのような投資集団が出現する可能性は
あまり大きくはないのではないでしょうか。

しかし、日本だけが置いてけぼりを食うわけではないし、
日本だって次のグローバル化時代を
生きて行かなければならないのですから、
ジャパン・ダラーの活かし方を考える必要があります。
いまのところ、日本人にできることは、
日本の物づくりの技術とそれに必要な資金を持って、
よその国の経済開発に出かけて行くことですから、
「物づくりを中心とした付加価値の創造」に
集中することになるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2008年3月28日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ