第2939回
チャイナ・ダラーは資源の開発に
では1兆5千億ドルも外貨準備を積み上げた中国は、
このまま更にふえ続ける米ドルを何に使うのでしょうか。
日本ではふえ続けるドルが過剰流動性をもたらし、
資産インフレを惹き起した時、
市中銀行を通じて外貨の融資を大幅にゆるめました。
日本の企業はその資金を広大なアメリカの土地に投資し、
地価を押し上げられなかったばかりでなく、
逆に地価の値下がりにあって、
折角、稼いだドルの大半を
地中に吸い込まれてほとんど失ってしまいました。
中国人も不動産を信奉する点では日本人に負けませんが、
自分たちも広大な領土の中で生活してきたので、
不動産の弱点や魔性もよく心得ています。
チャイナ・タウンの不動産と隣接する
イタリア村の不動産には手を出しますが、
団地の開発にまではお金を投じません。
黄金や金山は買っても、
馴れない土地の町づくりはやらないのです。
日本人よりずっと早くから
地球上の隅々まで進出していますので、
他国では自分たちの思う通りのことができないことを
よく知っているのです。
ですから、コツコツ貯めたお金はこっそり持ち出して、
香港とかシンガポールとか、
安心してお金のおいておける土地に移して
いつでもどこにでも動かせるようにします。
国が貯め込んだお金にしても、
動かしているのは抜け目のない中国人ですから、
アメリカの投資銀行の弱目につけこんで
乗っ取りに動くことはあまり考えられません。
全くないとは私も断言しませんが、
同じ買収でも、資源の開発に目をつけます。
石油、天然ガス、鉄鉱、石炭、ボーキサイト、
錫、銅、希少金属等々、
やがて中国の需要の増大を見込んで、
将来、必らず不足するであろう原料の開発にお金を投じます。
それこそドルでなければやれない仕事だし、
お金でお金を稼ぐ仕事でなくて、
資源を掘り出して原料を供給する仕事ですから、
外貨減らしと過剰流動性の解消に貢献することが可能になります。
そこがオイル・ダラーとチャイナ・ダラーの
大きな違いになるのではないでしょうか。
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