第2932回
自分は働いてお金は遊ばせる日本人
お金は日本語でおあしというように、
足があって
人のふところから別の人のふところに動く性質を持っています。
従ってうまくお金を働かせる人とそうでない人とでは、
同じお金でも働き方に雲泥の差が生じます。
一番横着な人は、
お金をそのままタンスの中にしまい込んでしまいます。
タンスの中にとじ込められた預金は動きがとれませんから、
働かないばかりでなく、
うっかりすると空巣に狙われてしまいます。
そこで大抵の人が当分、使わないお金は
銀行や郵便局へ持って行って預けます。
しかし、郵便局は預かるばかりで、お金を貸してくれないので、
住宅ローンを組んでマンションを買う必要の起った人は
銀行預金に切り換えます。
その時のために銀行の信用を得たい人は
ふだんからお金を定期預金にして銀行に預けておきます。
銀行から借金をする必要のない人も
家においておいて空巣に狙われるよりはと言って、
さしあたり使うあてのないお金は定期にして銀行に預けます。
定期預金にすれば、当座預金よりも高い金利をもらえるからです。
定期預金はずいぶん長い間、
1年物で6%の金利がつくのが常識でした。
銀行は預かったお金を企業に貸してその倍くらいの利益をあげ、
預金者と半分分けをしたのです。
お金を運用する術を持たない人にとっては
願ってもないシステムでした。
ところが、バブルがはじけて産業界がピンチにおちいると、
政府は破産に瀕した銀行や産業界を助けるために
6%あった預金者金利を1%そこそこまで引き下げた上に
20%も利子税を添加するようになったので、
金利で生活することは不可能になってしまいました。
昔は定期が満期になって、契約の更新に行くと、
帰りに貰った金利でデパートによって
キモノや洋服の新調ができたのに、
もう10年も前から、
パンとケーキくらいしか買って帰れなくなったのです。
それでも文句一つ言わず
銀行にお金を預け続けているのが日本人なのです。
お金は働きたくてうずうずしているというのに、です。
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