中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2931回
日本の産業界も方向転換を強いられます

バブルがはじけて、日本の不動産や株が暴落をした時、
銀行から借金をして不動産や株に投資をしていた企業も、
お金を貸した銀行も
まさかそれが奈落の底におちるまで続くとは
思っていませんでした。
政府も政策の方向転換をして低金利政策を続けましたが、
結果は資産の下落が長期にわたって続き、
多くの企業と銀行を破産に追い込みました。

いまアメリカ政府は、
サブプライム・ローンの焦げつきによって
資金が回収できなくなった債権と
証券の暴落によって失われた損失で
資金ぐりのできなくなった金融機関のために、
低金利政策をとったり、競売の延期に手を貸したりしていますが、
はたしてそれで更なる落ち込みを回避できるかどうかは
まだ何とも言えません。
銀行が失った資本の補充をするために、
資金の余裕のある石油成金や
外貨準備の豊富な国の資金を仰ぐ動きになっていますが、
銀行の大株主が変わることによって資金ぐりができれば、
あるいは金融危機から逃れられることも考えられます。

しかし、もし日本がそうであったように
不動産や株の低迷が長期にわたって続き、
銀行が更なる金融不安におびやかされるとしたら、
ドルの没落につながることもあり得ないことではありません。
ただ失ったものがドルの不足だけだとすれば、
もともと増刷はアメリカ政府のお得意とするところですから
失った分以上に更に増刷すれば、
少くとも一時期、ピンチから逃れることは可能です。
恐らく最終的にはそうした解決法に落着く可能性が大ですが、
そのプロセスでドルに対する信用が
更に一段と低下することは避けられません。

そうしたプロセスで、
アメリカ向けの日本の輸出がアジア中心に移ります。
最終的にはそういう方向転換になるでしょうが、
そういうことに積極的な企業とそうでない企業に
新しい大きな差が生じます。
どちらにしても日本企業にとっては
苦しい選択を強いられる時期が来ているのです。


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2008年3月19日(水)

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