中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2930回
低金利政策が日本企業を外人所有に

村上ファンドや楽天がM&Aにうつつを抜かすようになったのは、
アメリカの金融資本の動きからヒントを得たものでしょうが、
アメリカで起ったことは日本でも起りますから、
("マネーゲーム敗れたり"は日本の方が一足先ですが)
昨年あたりから
日本でもいよいよM&Aが本格化するんじゃないかと
予想したことがあります。

というのも気がついて見たら、
日本のこれと思う上場会社は、大株主がほとんど外人投資家になり、
「配当が少い」、
「積立金をそんなにたくさん残しても仕様がないじゃないか」
と要求する株主の声はほとんどこれらの外人勢から起っています。
日本のように、どちらかと言えば排他的で、
外人投資の進出に対してきびしい制限をやってきた国が
どうして突然、こんなことになってしまったのでしょうか。

それというのも、日本でドルが余りすぎてバブルが発生して
アメリカより一足先にバブルになり、
やがてバブルが崩壊して
日本の企業と
それらの企業に融資をやった金融機関が破産に瀕した時、
日本政府がこれらの企業に手を貸すために、
長期にわたって低金利政策を維持し続けたからです。
本来なら、一定の金利をつけて庶民に渡るべき所得を
政策的にカットしたために、
庶民はほとんどゼロに近い金利のまま銀行にお金を預け続けました。

そのお金の運用に不器用な日本の銀行が
その資金をアメリカの銀行や機関投資家に提供し、
それらのアメリカの投資機関が日本人の資金を使って
次々と日本の大企業や優良企業の株を買い占めたのです。
おかげでソニーもキャノンも過半数が外人資本、
日立が38%、トヨタが25%、日産に至っては63%が
外人が株主をつとめるようになってしまいました。
日本人も外国の会社の大株主になる時代ですから、
それでかまわないのでしょうが、
日本の大企業も中身をひっくりかえして見れば、
日本人の会社でなくなりつつあるのが天下の大勢なのです。


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2008年3月18日(火)

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