中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2921回
自分が変化しなければ株式市場に生き残れない

5、6年前に、私は中国のIT産業の現状を見て、
「どういうわけだか、ハードもソフトもうまく行きませんね」
と本に書いたことがあります。
北京大学が出資してつくった方正というソフトの会社も
予想外に低迷していたし、
パソコンをつくっていたレノボも
思うように業績が上がらずに四苦八苦していました。
レノボはその後、IBMのパソコン部門を買収して
世間をアッと驚かせましたが、
アメリカや台湾に比べてこんなに成功をしたよとは
まだ言えるところまで来ていません。

しかし、13億も人口のあるところですから、
通信、情報の分野で最終的に勝負をつけるとなると、
話はまた違ってきます。
通信技術の分野で優秀な技術を打ち出した企業も
いくつか出て来たし、
とりわけパソコンを使った情報通信の分野で
グーグルやヤフーに比べても劣らない成長をしている
後発業者の追跡にも目を見晴らせるものがあります。
私がそういう分野にも目を光らせるようになると、
「前はそう言っていなかったじゃないか。いつ改宗したんだ?」
とばかりに私を詰問する人もいます。
前に私がどんなことを言ったかをいつまでも覚えていて、
私が考えを変えるのを変節と思って許そうとしないのです。

株は時代によって変わるし、また進歩するものです。
その変化に応じて対策を変えなければ、
時代に取り残されてしまいます。
もし私の言ったことがそんなに頭に残っているのなら、
時代の変化によって
私が自分の考え方をどういう具合に変えたかについて
気をつけることの方が
昔の考え方を非難するよりもずっと大切なのではないでしょうか。

株式市場は刻々として変化して行くものです。
「彼は昔の彼ならず」と言うじゃありませんか。
時代の変化に素早く対応して考え方を変えて行くのでなければ、
株式市場に生き残っては行けないのです。
私はもう50年も株式市場に親しんでいますが、
50年前に私と肩を並べていた株式評論家の人で
いまも健在な人は一人もいないのです。


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2008年3月9日(日)

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