中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2920回
株に一番肝心なのは素敵なタイミング

株をやっている人の中には
「このバカが」と言いたくなるような人がたくさんいます。
あれでどうやって儲ける積りなんだろうかと
一発どやしてやりたくなります。
でもよく考えたら、
そういう人たちがいるおかげで、
こちらが儲けさせてもらえるのですから、
本当は感謝をしなければならない人たちなのです。

同じことをやっても儲かる人と損をする人があります。
「甲の得は乙の損」
とモンテーニュの随想録にも載っていますが、
損をしてくれる人がいるから得をする人があるのです。
たとえば、株で損をする人と株で得をする人と
全く別の株を買っているわけではありません。
同じ株を買ったり売ったりしているのに、
損をする人と得をする人に分かれるのです。
高い時に買って安くなった時に売る人は損をするし、
安い時に買って高くなった時に売る人は儲かります。
時と値段が違うだけで
損をする人と得をする人に分かれるのです。

たとえば環境汚染を処理する事業について
私の意見をきいた人がおりました。
もう5、6年も前のことでした。
その時、既に環境汚染ははじまっていましたが、
まだそれほど
のっぴきならぬ状態におちいっていませんでしたので、
政府にもそれほど危機感がなかったし、
工場の方も罰金払えばいいんだろうとタカをくくっていました。
ですから、「あなたがいま心配する問題ではありません」
と私は答えたのです。
私が環境汚染を無視していたわけではありません。
私自身、栗田工業の上場を手伝ったことがあるくらいですから。

しかし、その後、「世界の工場」になった中国は
世界中に工業製品を供給する過程で
世界中の汚染を一手に引き受けることになりましたので、
政府も住民も
ガマンの限界を越えるところまで追いつめられました。
一昨年になって私は環境保全株を探がすようになりました。
その前とその後で私が考え方を変えたわけではありません。
「この世で一番肝心なのは素敵なタイミング」
と歌の文句にもあるじゃありませんか。


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2008年3月8日(土)

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