中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2831回
中国株やるならもっと中国人の研究を

中国人と日本人とどう違うかを
一言では言い尽くすことはできません。
歴史も違い、環境も違うと、物の考え方も違ってきます。
かつて私は「中国人と日本人」という連載を中央公論に書き、
単行本にして出版すると
ベスト・セラーズを長く続けたことがあります。
その本をお読みいただければ、
7、80%くらいは中国人と日本人の違いがわかりますが、
日本人が殿様を中心に物を考えるのに対して、
中国人は自分を中心にして物を考えます。
殿様とは国のことだと考えてもいいし、
会社とか集団のことだと考えてもさしつかえありません。
自分をグループの中の一人として捉え、
グループの利益を優先させて自分の利益は後回しにします。
中国人はその反対に何でも自己中心に考えますから、
会社勤めをしても自分の利害関係で行動し、
愛社精神なんか薬にもしたくない人が大半です。

中国の上場会社の経営者の中にも
そういう利己主義の持主がたくさんいます。
もちろん、同じ経営者の中にも
株主を大切にする人とそうでない人がいます。
株主を大切にする人は
利益の分配をする場合でも配当に気をつけますが、
利己主義の人は株価が
自分の利益になるような動きになることを願って行動します。
ところが、私がこの会社の経営者は
こんな人らしいと投資家のためを思ってアドバイスすると、
それは私が株価を操作するために発言している
と誤解する人がいます。
投資家が間違いを起さないようにと親切心で言っているのに、
それを逆にとる人はよほど心が曲がっているか、
中国人に対する研究心の足りない人の
どちらかではないでしょうか。

中国人は自分の利益を中心にしてしか行動しませんから、
それでもちゃんと業績があがり、
人気の出る企業でないと安心ができません。
そういう点に充分、気をつけて下さいと言っているのです。
中国株でお金を儲けたいと思ったら、
先ず中国人の研究からはじめて下さい。
私は日本と中国のはざまにある台湾で育ったので、
どちらの味方でもありませんが、
どちらの敵でもありません。


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2007年12月10日(月)

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