中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2830回
「違いのわかる男」になって下さい

株価は株をやる多くの人たちの人間心理の結晶です。
大暴落をする時でも、
あわてて株を投げ売りする人もあれば、
待ってましたとばかりに株を買う人もあります。
どちらが正しかったかは後になってみないとわかりません。
時の流れを正しくキャッチした人の勝ちですが、
そういう時に人がどんな反応の仕方をするかわかることも
大切なことです。

私が兜町で「株の神様」をつとめた頃、
私の講演会を主催した証券会社の社長が私を紹介するのに、
「邱センセイの株の話をきいていると、
私はもう1回、大学に行って
心理学の勉強をやりなおす必要があると痛感します」
と言うのをきいて、
「へーえ」とこちらがびっくりしたことがあります。
株を売買する人の一人一人の考えることが
株価に反映するわけですから、
中国株をやる場合でも、
中国人投資家の心理の研究も必要なら、
中国人の経営者がどんな考え方で経営をしているかを
知る必要もあります。

ところが、日本人はあまり外国人とつきあわないし、
外国のこともよく知らない人が多いようです。
同じ人間なんだから、
喜怒哀楽も自分たちと同じだと考えがちですが、
同じ言葉をきいても、また同じような立場におかれても
国が違うと反応が違うことが珍しくありません。
ですから
「中国で仕事をやる場合、
失敗をしないためにはどうしたらいいですか」
とよくきかれます。

私は冗談半分に
「ほら、テレビのコマーシャルに
“違いのわかる男”というのがあったでしょう。
コーヒーの話じゃないけれど、違いがわかることが大切ですよ」
と茶化し半分に答えます。
あなたがいま言った言葉があなたの思った通りに、
相手の頭の中に入ったと思わないで下さい。
ですから期待した答えが
向うの口から出てくるとも思わないで下さい。
それがわかれば、行き違いはうんと少くなります。
株についても同じことが言えるんじゃないでしょうか。


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2007年12月9日(日)

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