中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2808回
M&Aの対象になる企業がふえる方向に

日本で株や不動産の買占めを狙っている外資は
大半がアメリカの会社ですが、
そうしたアメリカの会社が動かしているお金は
アメリカ人のものとは限りません。
お金には色づけがないので、どこの国の誰のものか、
当事者たちでないとわからないのです。

でもアメリカが続々とドルを印刷して支払っている先は
産油国とアメリカに大量に物を売っている国ですから、
アラビアの産油国とロシアと中国だろうと想像がつきます。
国によってお金の使い方が違うので、
ロシアとアラビアでは投資先も違うでしょうし、
中国も当然、また違ったやり方になります。
いま日本や韓国や台湾に上陸して
大きな物件の買占めに動いている資金は
恐らく一番親米的で、一番資本主義的発想に馴染んだ
ドバイを中心としたアラブ資本と見ても
そんなに間違ってはいないでしょう。

金主が自分たちで汗水垂らしてお金を作った人でなくて、
その使い走りをしているのが
資本主義の権化みたいなプロだとすると、
投資のやり方は自ら限られてきます。
無いところから粒々辛苦して富をつくり出す駆け出しではなくて、
既にその機能を持った中堅から上の企業を
金に任せて強引に買い占めるやり方が主流になる筈です。
そういった意味では、
中国あたりの成長過程にある中堅企業よりも、
日本や韓国の一流企業が狙われる可能性が
強いのではないでしょうか。

日本ではいまのところ、素材産業は健在で、
日本人が最も得意とする
精密産業や家電産業や流通業に翳が射しています。
たとえば、ダイキンのような冷暖房の会社が
世界の先端を行くようになったかと思えば、
サンヨー電機のような海外にも名の知れた家電メーカーが
破産寸前まで追い込まれています。
株価が落ち込んでいるけれど、
経営陣を入れかえれば立ち直りが早いとみられる企業は
どこもM&Aの対象になります。
これからそうした買占めの対象になる企業が
ふえる方向にあると私は見ています。


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2007年11月17日(土)

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