第2770回
スイスの若返りの病院にも行きました
私はかなりあわて者の方ですから、
いまから20何年前のまだ60才になるかならない時に
スイスのレマン湖の畔にある「若返りの病院」に
家内を連れて2人で1週間、入院したことがあります。
香港でグレイセルという皺取りクリームの経営をしている
中国人の人に案内されて行ったのですが、
1週間の入院に1人旅費も入れて
確か120万円も支払った記憶があります。
何しろグレタ・ガルボもチャップリンもチャーチルも入ったという
世界的に有名な病院だそうで、
まだ年齢を意識するほどの年齢ではなかったのですが、
好奇心も働いて大枚を切ることを承知したのです。
とても風光明媚なところにある設備の整った小さな病院で、
日曜日に入院して診察を続け、
金曜日にお尻のところに7本の注射を打って
土曜日に退院するというコースでした。
一番印象に残ったのがレストランで、
病院の決めたメニューでなくて、
アラカルトで自分の好きな料理を注文できることでした。
しかも私は途中で脱け出して
ジラルデという3つ星レストランまで夕食をとりに行ったことが
いまも記憶に残っています。
診察の設備やレントゲンは古臭いものでしたが、
医者も看護婦も懇切丁寧で、
いよいよ注射をする前日になると
香港から私たちを案内してきてくれた人が
「注射は痛いですよ」とよけいなことを言ったので、
「なぜ今頃になっていうの?」と家内が猛烈怒り狂いました。
翌日、看護婦さんが
注射針をズラリと並べた手押車を押して入ってくると、
お医者さんが
「どちらから先に致しましょうか」
ときくので
「レディ・ファーストにきまっているでしょう」
と私がすかさず答えました。
先に注射針を打たれた家内が
「それほどでもないわ」と口走ったので
私も思わず胸を撫でおろしました。
その後、「結果はどうでしたか」とよくきかれますが、
イエスともノーとも答えかねて、
「あれから20何年もまだ生きていますよ、ごらんの通り」
と答えることにしています。
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