第2763回
海外増資の規制を緩めてはどうですか
株主が株価を上げようとして高値を買っているのに、
株主の意向を無視して、
第三者に半値で割り当てるとは何事だ、
と私は東京から抗議を申し込みました。
「そうおっしゃられればその通りですね」
と上海棟華の董事長さんは素直に謝まり、
「同じ値段で株主にも増資の割当をしますから」
と董事会で、株主に対しては同じ1.1ドルで
100株につき36.5株の割合で割り当てる決議をしました。
ところが、3月に完了するだろうという手続きが6月になり、
6月にやれるといったのが9月に延びて
はたしていつ決議通りに実行できるのか
見通しのつかない状態が続いています。
本社が中国にあって香港に上場している会社は
香港取引所の許可をもらう前に中国政府の許可が必要ですが、
書類が北京でストップしたままになっているのです。
どうして許可にならないかというと、
香港での増資は増資した分だけ外貨がふえることになり、
過剰流動性対策でてんやわんやになっている当局にとって
マイナスに働くからです。
ご本人たちも気がついているかも知れませんが、
私は同じように増資を企てて許可にならなかった
他の上場会社のトップが増資をとりやめたのを見て
すぐに気がつきました。
上海棟華のトップに悪気があったわけでもないし、
事業に大きなアクシデントがあったわけでもありません。
でも金ぐりに支障をきたしますから、
その影響が業績にも現われています。
昨年は前年度に比して28%の増益でしたが、
ことしの上半期は7.8%の減益になっています。
そういった意味ではここの会社も
常茂生化と同じように予定達成の遅れが出ています。
その分だけ株価も低迷を脱しきれないでいますが、
増資が実現すれば、遅れを取り戻せる体質ではあります。
ただし、日本在住の株主は増資に応ずることができませんので、
増資前に株を処分するか、
非居住者の持株に切りかえる必要があります。
どう考えてもグローバル化の時代になったのですから、
日本も海外投資の規制を緩和する必要がありますね。
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