第2762回
アスファルトの会社が一頓挫
経済の成長するプロセスで、
成長する産業はまだまだいくつでも考えられます。
調子に乗った私はすぐ道路に目をつけました。
日本でも自動車ブームの到来を予想して、
トンネルを掘る佐藤工業や
橋をかける宮地鉄工をとりあげたくらいですから、
橋をかける会社はどこにあるか、
トンネル専業の会社はどこだと目をきょろきょろさせます。
でもあれだけ急速に高速道路網を全国にくりひろげた
中国の建設会社はほとんどが国営なのです。
最近は国営から上場企業に切りかえる建設会社も
あるようになりましたが、
道路公団のお役人が民営企業のように
素ばしこく動くと期待する人がはたして何人いるでしょうか。
そうした目で創業板を丹念に調べていると、
道路工事に使うアスファルトを輸入して
道路工事会社に販売している商事会社が目につきました。
商事会社ですから
日本のニチレキとは仕事の内容もかなり違いますが、
大へんな勢いで業績が伸びています。
住所を見ると、うちの上海のビルと
さほど遠くないところにあったので、
一ぺん訪ねて見る気を起こしました。
仕事は外国からアスファルトを輸入して
道路工事会社に供給するまでですから、
自分たちが加工も施工もしていません。
どうしてこんな仕事が成り立つかというと、
日本も台湾も道路工事は一巡して
石油の精製過程でカスとして残るアスファルトが
余るようになったのです。
それを香港を窓口として輸入して
施工業者に供給しているのですが、
輸送とか貯蔵とか、
またオン・タイムに現地に届けるためには
それなりの輸送手段と設備が必要で、
かなりの資金と人的配置が要求されるのです。
ですからそれなりにプロの仕事であり、
競争相手も当然ありますが、
上海棟華の事業は揚水江沿岸地帯をメインに
急速に成長発展していると説明を受けました。
この勢いで伸びるのなら、
かつての日本の道路工事会社と同じ動きになるだろう。
そう考えて、1ドルから2.2ドルまで買い上げて行ったら、
1.1ドルで第三者割当てをすると発表して
株価が大暴落をしてしまったのです。
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