第2713回
流通業者も国境をこえて大移動の兆ざしが
政治家や日銀総裁はいつも希望的観測で物を言うので、
景気はいつも恢復に向っていることになっていますが、
実際にビジネスにたずさわっている人たちで
本当に「デフレよ、さようなら」と思っている人が
はたして何人いるでしょうか。
石油が高くなったり、輸入する食品や原材料が値上がりのため、
コスト・アップで頭を抱えている話ならよくききます。
でもそうした原料を加工して売っているメーカーは
いつも「原料高の製品安」に悩まされているし、
そもそも売ることに難儀しています。
毎月、発表されるデパートやスーパーの売上げの数字を見る前に、
業者たちの言いわけをきいたら、
如何に天候不順が長く続いているかがわかります。
私は東京に帰ってきたら、
必らず1回や2回はデパートを覗いてみますが、
よくこれでやって行けるなといつも感心しています。
上海や北京はもとより、成都や昆明でも
デパートの中は歩くのに難儀するほど人が一杯ですが、
東京は人っ子一人いないこともあります。
店員の方がお客の数より多いことが珍しくありません。
こんなことがはたしていつまで続くのだろうかと思っているうちに、
デパートの合併や
スーパーのスクラップ・アンド・ビルドがはじまり、
とうとう三越と伊勢丹の合併話まで持ち上がってきてしまいました。
3、40年前のデパート屋さんの鼻息の荒さを思ったら、
自分の頬っぺをつねって見たくなります。
デパートのあとを追いかけて全国制覇をした
スーパー・チェーンにも同じことが言えます。
経済の成長がとまってしまい、
いくらバーゲン・セールをくりかえしてもお客が集らなくなったら、
大型店にも地方の商店街と同じことが起ります。
デパートやスーパーだって商売のできなくなったところから
お金の儲かるところへ引越しをしなければならなくなるのです。
株式投資についてももちろん、同じことが言えます。
同じ努力をしても成果のあがるところと
そうでないところがあれば、
成果のあがるところに引越しをする人の勝ちです。
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