第2563回
寧夏自治区は見習生の宝庫です
私は1年ほどかけて銀川市という寧夏自治区の省都に、
日本へ見習生を送り出すシステムをつくりました。
いままで中国の各地にも
海外に人材を派遣する会社がボツボツ姿を現わしていますが、
向うが日本の実情をあまり知らないのと、
日本側が中国から
外国に人を送り出す場合の手続きを理解していないので、
お世辞にもスムーズに事が運んでいるとは言えません。
たとえば肉屋や魚屋で働いてもらう人でも
昨日まで畑仕事をしていた人だとか、
パン屋で働いてもらう人でも、
昨日まで市場で働いていた人であるとか
そういう人が送り込まれてきます。
日本領事館では
送り込む会社にいちいち電話をかけて確めているようですが、
そんなことよりも熱心に勉強をして
ちゃんと仕事を覚えるかどうかの方がずっと大切です。
見習生は過去に同じ仕事に従事していたことよりも、
これから覚える仕事が身につくかどうかが肝心なのです。
寧夏回教自治区は工業が発達しておらず、
就職のチャンスの少い貧乏省ですから、
よそへ出稼ぎに行く人が少くありません。
その場合、手に職のない単純労働者は
安い月給しかもらえませんので、
省政府が先頭に立って職業教育をやっています。
農業学校からはじまって、料理学校、
サービス業で働く人のための職業学校、自動車修理学校、
機械工学校、コンピュータ学校、看護婦学校などなど
職業学校だけで何と40何校もあります。
たとえばパン屋で働く人が欲しければ、
昨日まで市場で働いていた人ではなくて、
うどん粉の練り方から、中華鍋の使い方まで教わった学生の中から、
自分の気に入った青年男女を選ぶことができます。
いずれも素性が知れているだけでなく、
そとへ働きに行く場合も親が保証人になりますから、
日本へ来てから逐電するようなことは先ず考えられません。
「真面目でよく働いて親孝行」というお墨つきですから、
仕事が肌に合わない場合は
国に帰ってほかの人に代わってもらえます。
そういう見習生を訓練してくれるところは中国広しといえども、
そんなにたくさんはありません。
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