中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2561回
パン屋の見習生要りませんか

パン屋の話になりましたので、
パン屋で働く人たちを例に挙げましょう。
中国人がパンを食べる習慣はまだはじまったばかりですから、
パン屋も少いし、パンの職人もまだ充分に育っていません。
したがって北京や上海でパン屋さんをひらく場合は、
職人の親方になる人を日本から送り込んでくる必要があります。
下働きをして手に職をつけようと
田舎から出てくる若者はいくらでもおります。
ケーキの職人やイタリア料理のコックについても
同じことが言えます。

反対に日本では親方のつとまる人はかなりいますが、
下働きをして手に職を覚え、
将来一人前のパン職人を志す人はほとんどいなくなりました。
パソコンを前に朝、日が昇るまで起きている人や、
新宿、六本木で朝までうろうろして
始発電車で自分のアパートまで帰る若者はいくらでもいますが、
朝、6時にパンが焼きあがるために、
2時か3時に起きる仕事場で働く若者は
鐘や太鼓を叩いても、いやいくらホーム・ページで広告をしても、
どこにもいなくなってしまいました。
仕方がないので見習生の名目で
アジアの各地から夜討ち朝駆けをいとわない
弱年労働者を呼び寄せるよりほかありません。
昨日まで畑仕事をしていたとか、片言の日本語もできない若者が
見習生として送り込まれてきています。

それに対して入国管理局は、
向うの同業者の店で働いていることと条件をつけていますが、
私のところは北京をはじめ、
成都や昆明にあちこち店を展開していますので、
見習生を送り込む資格があります。
その上、日本語学校もあって
片言の日本語を喋れるくらいには教育をすることもできますので、
日本のパン屋さんで人手不足に悩んでいるオヤジさんたちの
要求に応ずることができるのです。
1年しかなかった見習期間が
近いうちに機械工並みに3年になるそうですから、
同業組合を通じて申請することができるようになりました。
そうした人手不足に悩む中小企業の必要に応ずるためにも、
こちらも店の数をふやすことになったのです。


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2007年3月15日(木)

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