第2560回
激戦下の上海でもパン工場をつくるわけ
上海でも北京でも、いまパン屋やケーキ屋は激戦中ですが、
中国人の収入がふえるなかで最先きにふえるのは
何と言っても食べることに支払うお金です。
庶民の口にあう料理を出しているレストランはどこも満員だし、
スーパーやコンビニの食品売場も押すな押すなの盛況です。
もちろん、料理の主流は中華ですが、その中にあって、
マクドナルドやピザハットの人だかりを見てもわかるように、
食品の洋化も大へんな勢いですすんでいます。
朝粥とか豆乳ですましてきたサラリーマンでも、
高層マンションに住むようになると、
パンとコーヒーに少しずつ変わって行きます。
少しずつと言っても、
ニューリッチだけで2億人という人口の多い国ですから、
少しの変化だけで需要は大きく変わるのです。
アジア設計センターで、
ふと「コーヒー工場」という看板を見ただけで、
ここにパンとケーキの工場をつくって、
上海のニューリッチのほんの一部の人たちに供給するだけで
商売として成り立つのではないかと私は思いました。
ですから
「パン工場をつくるのには賛成ですか?」ときいたら、
即座にオーケーが出たので、
私は北京で私のパートナーをつとめてくれている
横浜のパン、ケーキ屋さんのご主人に電話をしました。
これで北京の工場が完成したら、
すぐにも上海工場の建設にとりかからなければなりません。
一事が万事こんな調子ですから、
中国で仕事をはじめると
いくらお金があっても足りなくなってしまうのです。
タカがパン屋でどうしてこんなに拡張を急ぐのかというと、
中国のマーケットの事情もありますが、
実は日本のパン屋さんが働く人に困って
中国から朝の2時に起こしても
文句を言わずに働く人に来てもらわないと
店じまいをしなければならないところまで
追い込まれているからです。
中国からパンの職人になる見習生を送り出すことが
焦眉の急になっていますが、
見習いから帰ってきた職人たちを受け入れる
新しい職場をつくる必要にも迫られているのです。
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