第2320回
もうすぐキャピタル・ゲイン中心の相場に
日本の株式市場で「利廻わりの革命」が起った背景には、
日本経済が成長過程に入って
将来もっと利益のあがりそうな体制になったことと、
人々のふところ具合がよくなって
株式市場に流れ込むお金の量がふえたことがあります。
以前のことをよく知っている人にとっては
利廻わりが悪化した事は不可解なことでもありますが、
採算が悪化した相場は絶好の売り場ということにもなります。
ですから、相場師と呼ばれる人たちは、
ここぞとばかりに売りにでましたが、
売れば売るほど株価は値上りしますから
「老兵は消え去るのみ」ということになって
悉く姿を消す運命が待っていました。
獅子文六さん描くところの「大番」の相場師は
戦前の日本の最後の無形文化財をテーマにしたのだと見ても
決しておかしくはないでしょう。
時代が変わるとチャンピオンも変わります。
たまたまそうした時代の変わり目のところで
ズブのシロウトだった私が
「成長株買い」というアイデアを打ち出しました。
日本を代表する横綱株を買うよりも、
相撲で言えば幕下にある店頭株の中から
未来の横綱になる出世銘柄を選び出して推奨したのですが、
投資家たちの中で共鳴してくれる人たちがふえると、
相場表の見方も一変してしまったし、
株価のバランスも一変してしまいました。
株を買うのに利廻わり採算で買う人は
ほとんどなくなってしまい、
どの株がよくあがるかという値上り益、
即ちキャピタル・ゲインを中心として
株式投資をする人たちに入れ替ってしまったのです。
それに比べると、
中国株はまだインカム・ゲインとキャピタル・ゲインの間に挟まれた
どっちつかずの位置にまだおかれています。
私自身、中国株はどうしてこんなに利廻わりがいいんだろうなあ
と半信半疑のまま中国株を買っていますが、
かっての日本で起ったのと同じ社会環境が中国を取りまけば、
中国でも
キャピタル・ゲイン中心の株式投資をする時代が来るのではないか
投資家も考え方を変える時代に近づいているのではないか
と最近思うようになりました。
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