第2319回
「利廻わり革命」が中国株にも起りそう
「利廻わり革命」という言葉をご存知ですか。
株に投資をする人はキャピタル・ゲイン(値上りによる利益)と
インカム・ゲイン(配当などの利益)の2つを狙いますが、
株価の値上りがあまり期待できなかった時代には
主としてインカム・ゲインを中心に株式投資が行われました。
定期預金の利息が6%であった時代ですから、
株の配当は定期の利息よりも不安定なので、
6%より少し多目なのが常識です。
したがって、
どこの会社はどのくらい配当をしそうだ
ということから逆算して株価がきまったのです。
戦前からずっと続いてきたこうした傾向は
日本の高度成長がはじまる直前まで、
つまり昭和20年代の終わり頃までずっと続きました。
30年代に入って高度成長がはじまると、
大衆投資家も加わって、
株価が平均利廻わりをオーバーして値上りするようになったので
東洋経済やダイヤモンドのような株式雑誌の記者たちは
株価の説明に困惑し、
「株式市場に利廻わり革命が起った」という
自分たちにもわかったような、
わからないような解説をしたことがあります。
たとえば、50円額面の株で1株12円の配当をしている会社は
年6%の利廻わりとすれば、
株価が200円というのが妥当な株価です。
ところが、株を買う人がふえて
200円が300円まで買い上げられるようなことが起ります。
すると倍額増資をして(つまり株主が50円の払込みをして、
1株が2株になると、1株が175円の買値になります)
それでも配当率が据えおかれた場合、
12円に対して1株当りの元金は175円になりますから
利廻わりは6.8%になります。
どうして300円になったかというと
次の増資まで織り込んだ買いが入って、
増資を催促しているのだ、と解説をしたのです。
つまり「株は何回か先の増資を終わったあとの
利廻わりまで買われるようになった、
だから利廻わりに革命が起ったのだ」
と苦しまぎれの説明をしたのです。
それと似たようなことが
いま中国株にも起ろうとしていると私は実感しているところです。
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