第2219回
消費市場中心の成長経済に移ります
ことしの人代大會で重点政策として採り上げられたのは
一つは消費市場の確立であり、
もう一つは農村経済の救済でした。
二つとも中国としては最優先に解決すべき
焦眉の急とも言うべき難題です。
先ず輸出に重点をおいた高度成長による外貨の急増で
アメリカをはじめ諸外国から
人民券の切り上げを迫られている中国は、
その解決策として
国内消費の拡大という政策を選びました。
過剰投資になりかねない生産設備の拡大を緩和するためには、
更に輸出に拍車をかけたのでは
貿易赤字国の爪はじきにあいます。
その点、生産の増加分を国内消費が消化してくれれば、
ソフトランディングにもつながるし、
また生活水準の向上を促します。
一年に9%を超える成長の
かなりの部分が消費にまわれば、
人口が多いだけに
消費市場に未曾有の好況をもたらすことになりますから、
株式投資にかかわっている人にとって
注意の怠れないところです。
またもう一つの農村救済は
工業生産の急速な成長により
取り残された感じのある農業に梃子入れするためです。
このまま放置しておくと、
農村と都市の貧富の差は益々大きくなるし、
ここのところ農村で相つぐ暴動を
鎮静化する必要にも迫られています。
農民に対する課税の軽減もしくは全廃は
資本主義化のすすんでいる国では
どこにも見られる現象だし、
子供の学費にも事欠く中国では
やっと実現に漕ぎつけたかと言うところですね。
でも政府が農村に力を入るのを見て、
農業関係の上場株に動意が見られますが、
一つ二つの例外を除けば、
農業の成長に期待するのは難しいと言ってよいでしょう。
乳製品とか、食肉加工などの
食品加工業は消費関連であって、農業ではありませんので、
どうぞお間違いのないように。
何と言っても、
ことしから以後の中国経済は
消費市場を中心とした展開になります。
そのへんを充分頭に入れて
ご自分の株式市場番付を新しく書きなおして下さい。
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