第2160回
お金を働かせる資質を身につけて下さい
片一方で生活の安定を図り、
片一方でもっと充実した生活を目指すのが
成熟社会を生きる人たちの
トレンドと言っていいでしょう。
近頃はテレビを覗いていると、
一番目立つのはそういう人たちを狙った
保険会社の広告です。
生活の安定を願望している人や
病気の心配をしている人たちの
ふところを狙っていることが
露骨にわかってしまうような
気分の悪くなる広告が
どうしてあんなに臆面もなく罷り通るのでしょうか。
もし人の役に立つことをやっているのなら
広告をしなくとも、
人は噂をきいてしぜんに集まってきます。
あんなにたくさんの広告料を払って、
ピンチになった時のお役に立ちますよと喧伝することは、
うまいことを言って
貧乏人のお金をかすめとろうという
魂胆であるとしか思えません。
現に勧誘員にうまいこと言わせて、
いざとなったら保険金の不払いを
常套手段にした保険会社が罰されて
上層部が退陣させられた例があります。
保険というのは事故を起した人の補償を
事故に遭遇しなかった人々の掛け金で
埋め合わせるシステムで、
事故の起る確率は予め計算されていますから、
保険会社が損をすることは先ずありません。
いくら広告の規制がなくなったからと言って、
あんなに広告をしたのでは、
保険会社のがめつさばかりが目について、
むしろ逆効果です。
頭の回転のよい人なら、保険に入るよりも、
そんな保険会社の株を買う方に
まわるのではないでしょうか。
いま成熟社会に必要なことは、
どんな充実した生活をするかということよりも
「先立つ物は金」ですから、
どんな安定した生活ができるかということの方が大切です。
自分の持っているお金を
どういう具合に運用したらよいかを考えてから、
その果実をどういう生活にあてるか、
考えればいいのです。
つまり成熟社会をうまく生きるためには
汗水垂らして稼いだお金を
ただ銀行に預けておいたのでは駄目で、
先ず自分でうまく働かせるだけの資質が必要になります。
昔と同じ考え方で次の時代は生きて行けないのです。 |