第2159回
成熟社会のトレンドは違う筈です
いまの日本で経済が活気を帯びてきたのを
景気恢復の兆ざしと見る論調が
多く見られるようになりましたが、
これまでに起ってきた景気のリサイクルと
単純に考えると、
あてがはずれるのではないかと私は思っています。
なぜならば、高度成長の時代はとっくにすぎて
日本は成熟社会に入ってしまったからです。
欲しい物は一通りあるようになって、
人々がお金を払いたい気持になる商品やサービスは
高度成長時代とは質を異にする時代に
なってしまったと考えるべきです。
私は外国から帰ってくると、
以前より足繁くデパートや商店街に
足を運ぶようになりました。
デパートの入りはどうなのか、
人々はどんな物を買いたがるのか、
私なりに観察をしていると、
先ず第一にデパートの売り上げは
少しふえたと言いますが、
デパートによって違いますし、
客離れの激しいデパートは
むしろ以前より閑散としています。
お客をつかまえきれないデパートやスーパーは
選手交替の時期に来ているという印象さえ受けます。
また売り場によってお客の入りに違いがあります。
食品売り場とレストラン・フロアーと
コーヒーショップは賑わっていますが、
デパートにとって一番マージンの多い1階の売り場は
人の通り路になっているだけで、
家具売り場や貴金属、時計売り場に至っては
あれで商売が成り立つのかと
首をかしげてしまいます。
昔からそうなんだと言われれば、
納得できないこともありませんが、
問題は稼ぎ頭だったファッション・フロアーでしょうね。
若者の着る物が変わったために、
デパートよりも、ショッピング・センターの中の専門店に
売り場が移った感じですが、
一番変わりばえのしないのは紳士服売り場です。
お勤めに行く服とゴルフ・ウェア以外に
男の着る物はほとんど売られていないのです。
頭の硬着したファッション・メーカーや
デザイナーでは考えが及ばないのでしょうが、
成熟社会の次の革命は
もしかしたら男物のファッションから
はじまるのではないでしょうか。
中年男が胸をときめかせるような
新しいファッションを開発する人は
いないものでしょうか。 |