第2158回
日本人は投資家の目で物を見て下さい
老齢化と国際化は
世界中どこの国でも起っていますが、
成熟化は先進国に生活していないと
経験することができません。
成熟社会とは経済や文化が
オトナの体格になったということですから、
物質的には充たされた形になっており、
新しい知識や技術がもたされない限り、
もう前には進めないところまで到達しています。
もちろん、そうした中にも貧富の差もあるし、
失業の心配もありますが、
発展途上国や後進国に比べると、
人間として望み得る
かなり高いレベルに達しています。
したがって経済や文化の分野で
教える側か、教えられる側かと言えば、
もちろん、教える側です。
また、資本や技術を提供する側か、
労働力を提供する側かときかれれば、
もちろん、資本と技術を提供する側にランクされます。
日本は戦後からこの方、
半世紀に及ぶ工業化とそれに伴う富の蓄積で、
資本と技術を提供する側にまわるようになったのです。
もちろん、先進国にも貧富の差があるし、
先進国に住んで労働力を提供して
生活をしている人もたくさんいます。
しかし、先進国で成熟社会を体験している人たちは
後進国でその日暮らしをしている人たちに比べれば、
富の何たるかをよく知っているし、
労働者でありながら自分の貯蓄を動かして
株を買ったり、お金を稼いだりすることも知っています。
つまり資本の役割も、労働の役割も、
一応は心得た生活圏内におかれているのです。
そうした経験が実は先進国に育った人たちの
貴重な特権であり、
投資家として行動することのできる
元手になっているのです。
成熟社会の目で中国の経済発展を見た場合、
どんなチャンスがあるか見えてくるのが
ごく自然だと私は思っていますが、
驚いたことに資本を動かす人の目で物を見る前に
拒否反応で目を覆われている人の方が
ずっとたくさんいるのですね。
折角、中国の人より50年も早く工業化の道を歩み、
成熟社会に親しんで来たのですから、
せめてこのコラムに
親しんで下さっている方々くらいは
投資家の目でアジアの新しい動きを
よく見てもらいたいものですね。 |