第1922回
切り上げで中国経済はもっと強くなる

もし人民元の切り上げがはじまったら、
輸出産業はその分だけ
人民元で受け取る商品代が減りますから、
計上益は減少します。
しかし、そんなことは
輸出産業に従事している人は
誰でも知っていますから、
指を食わえて見ているわけがありません。
どうやったらコストがダウンできるか、
もしくは同じ商品の国内消費をふやすことができるか、
死物狂いになって努力をする筈です。

かつてニクソン・ショックの時、
大抵の経済の専門家が
日本の株価の低迷を予測しました。
たまたまその翌年の日経の株価予想で、
私だけがその逆の予想をしました。
蓋をあけて見たら私ともう一人くらいしか
ダウ3000円以上の予想をした人がいなかったので、
これじゃ天下の笑い者になるのかなと
心細くなりましたが、
実際に起ったことは
私の方が正しかったことを証明してくれました。

そうした見方が
今回の場合も通用するとすれば、
人民元の切り上げは中国の産業界にとって
怖しいことでも何でもないのです。
最も激しく影響を受けると
予想されている業界でも
何とかピンチを切り抜けようとして努力するし、
結果としてピンチを切り抜けることができるのです。

その代わり、
こうした荒波をくぐり抜ける過程で
波に強い企業と弱い企業の優劣の差が
はっきり出てきます。
輸出産業にもそういう淘汰が起りますが、
自動車とか、不動産開発業とか、
百貨店やスーパーのような流通業にも
同じことが起ります。
人民元の切り上げはむしろ
そうした優勝劣敗の起る
きっかけになると考えた方が
いいのではないでしょうか。

日本だって1ドル360円が80円と
4分の1まで値上がりをしたし、
100円台のはじめのところに
いまは落着いているのですから、
人民元の8.27元がいくらに落着くのか、
予想を越えることが起らないとは言えません。
しかし大切なことは
人民元がいくらに落着くかということではなくて、
その過程で私たちの財布に大きく響く
どんなことが起るかを予見することです。


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