第1836回
原料高の製品安が世界を変えます

資源不足が時代のトレンドになりますので、
石油でも石炭でも、
鉄鉱石やボーキサイトでも、
一度値上がりした原料は
なかなか下がらなくなります。
それなら物を買う人がいなくなって
物が売れなくなるかというと、
物をつくる人はなるべく合理化を図って
最終売り値を下げようとして努力しますから、
消費はそんなに減りません。
その代わりコストを下げた分だけ
儲けがなくなりますから、
儲けをふやすために
またコストダウンに力を入れます。
原料高の製品安は工業社会の宿命であり、
それを世界的スケールで達成しようと思えば、
生産基地はコストの安いところへ移動し続けます。

昔は工業生産の能力を持った
いわゆる資本主義国で
先ず工業生産がはじまり、
その原料を確保するために
武力を以て原料国を植民化する
いわゆる帝国主義の時代がありました。
敗戦後の日本は
工業生産を維持する能力はありましたが、
それに必要な資源がなかったので
必要な資源を外国から輸入して
物づくりに励みました。
そうしてつくられた
メイド・イン・ジャパンに顧客がついて
世界中から注文が入ったので、
売値と原値の差額が儲けとして
日本人のポケットに入り、
日本人はアメリカを追い越さんばかりの勢いで
世界の金持ち国に浮びあがりました。

その結果、日本人の所得がふえ、
日本円も世界でトップを行く
強い通貨になったので
いくらコストダウンに努力しても
もうこれ以上は生産性をあげられないところまで
来てしまいました。

かつて日本の工業を発展させた
コストダウンの条件が
そのまま日本からもっといい条件を備えた地域に
大移動をはじめたのです。
この大移動は日本だけでなく、
日本より更に条件の悪いアメリカからの
大移動を促します。
年々ふえ続けるアメリカの国際収支の大赤字は
年と共にふえて、
減少する方向へ転換する可能性は全くありません。
それでもドルの威力が続くと思われますか。
お金はコストダウンのできる方向に向って
息もつかずに動くものなのです。


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