第1726回
コーヒーの水蒸気焙煎は公知の技術です
シャープが電子レンジに代わるものとして
水蒸気を使う家庭用レンジを開発して
話題になっています。
そのレンジとこのコラムで度々話題にした
水蒸気による焙煎機とどう違うのかについて
読者の方から質問がありました。
水蒸気を使って焙煎をする技術は公知の技術で、
かつてほかの会社が特許の申請をして
却下されたことがあります。
シャープで売り出した機械と他に
既に水蒸気を使って焙煎をする機械と
私のところへ持ち込まれた機械は
いずれも水蒸気を使っていますが、
水蒸気を発生させるシステムに違いがあります。
従来の方法でやりますと、
温度が上がっても300度止まりで、
実際には200度程度ですが、
私が見せてもらった機械は
最高800度まで上がります。
どういうわけでそうなるかは
理論的な解明が必要ですが、
事実が先に起って理論づけを
京大の先生に依頼しているところです。
温度が600度とか800度になると、
食品の瞬間殺菌はもとよりのこと、
金属の加工にも、焼却炉にも使え、
さまざまな用途が考えられます。
コーヒーに応用した場合は
短い時間に希望する焙煎ができるだけでなく、
空気にふれずに仕上がるために抗酸化焙煎がすすみ、
コーヒーの香りが長期にわたって保たれるだけでなく、
変質のスピードがかなり遅れます。
それだけでもコーヒー業界には
画期的な変化をもたらすのではないかと
目下、さまざまの実験をくりかえしている最中です。
約1年ほど色々と手直しをした第1号機を
北京へ持って行く予定です。
雲南のコーヒー豆を色んな具合に焙煎して見て、
もしいままで日本で実験してきたのと同じ結果が出たら、
いままでのように消費地で焙煎するのをやめて
雲南省の産地で大型機を入れて
焙煎する予定になっています。
もし予定通りの結果になったら、
水蒸気を使う新しい技術が
次から次へと開発されて
私たちが独占する可能性は
すぐになくなってしまうでしょうが、
それはそれでいいんじゃないかと思っています。
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