第1722回
温州商人は日本人にとって近い存在

中国でファッション・ビジネスの発祥の地は
上海ということになっています。
靴とワイシャツは戦前から
上海製ときまっていましたが、
中国じゅうで外国人と最も接触する機会が多く、
国際都市としていち早く発展してきたからです。
共産党の天下になってから、
しばらく鎖国状態が続いていましたが、
ケ小平の改革解放政策が打ち出されると、
一番早く元へ戻ったのも上海です。

解放後は靴とワイシャツのほかに、
ハンドバックとジーパンがこれに加わり、
もちろん、男のスーツや女性のファッションも
そのあとに続いていますが、
流行の先端はメイド・イン・シャンハイと
相場がきまってしまいました。
そうは言ってもブランドの確立は
まだ緒についたばかりで、
世界中に知られるような知名度の高いブランドは
まだ現われていません。
というよりもどのメーカーも
知名度の確立に一生懸命になっているところ
と言った方が正しいでしょう。

やがてそういうブランドが確立することを見越して、
私は洋服から靴やカバンに至るまで、
多少、知名度のでてきたメーカーを
機会あるごとに訪問していますが、
面白いことに本店が温州にあるのがほとんどで、
本店が上海にあった場合でも、
工場は温州にあるのが珍しくありません。
温州が加工に向いているからと言うよりは、
温州で加工に着手して少し目鼻がつくと、
中国最大の市場である上海に進出するのが
定石になっていると言った方が正しいでしょう。

なかには本社だけでなく、
主力工場を温州から上海近郊に移し、
スイスやドイツなどの最新鋭設備を導入し、
労働者の供給は内陸部に仰いで
きわめて効率的な生産に従事している会社も
1社や2社ではありません。
そこで不足しているのは何かというと、
デザインだけというところまで漕ぎつけていますから、
日本のデザイナ、もしくはファッション業者と
結びつく可能性が大きくなりました。
そういう意味でも温州商人は
日本のファッション・ビジネスに従事している人にとっては
決して遠い存在ではありません。


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