第1719回
やがてファッション製品にも伝染します

温州は中国一の靴と衣類の加工都市で
中国のミラノになりつつあることは
前にも述べたことがあります。
もともとは温州みかんで知られた貧しい港町でしたが、
開放政策が打ち出される少し前から、
縫製と皮細工を手がける先駆者が現われ、
それがたちまち地元産業として
町を繁栄させるようになりました。

それを人づてにきいた私は
何年も前にわざわざ飛行機に乗って
この人口100万あまりの地方都市にのりこみましたが、
ホテルを一歩外へ出ると、
ダンヒル、ボスからヴァレンチノ、
ヴェルサーチの店まで並んでいるのです。
これらの世界の有名ブランドが
ここに加工場を持っていることが
一目でわかりました。
街を歩くと、靴屋も軒を並べていましたが、
さすがにイタリアやイギリスの有名ブランドは見当りません。
しかし、店に入って流行の先端を行くデザインの靴が
テストニーやタニノ・クリスチィの
10分の1くらいの値段で手に入ります。
穿き心地もそんなに遜色はありません。
これなら日本に持って行ったら、
日本のメーカーは一たまりもないだろうと
思ったことがあります。

日本は国内産業の保護をするために
皮革製品に法外な課税をしているので、
靴メーカーは何とか首がつながっていますが、
EUのような
原則として自由貿易をモットーとしている地域では
よほどのことがなければ、
保護課税の挙に出ることもできません。

スペインには先ず
温州のメーカーが輸出を試み、
これを積極的に推進するためには
自分たちが現地に乗り込んで販売する以外に
方法がないことがわかると、
家族ごと現地に移住して地盤づくりをはじめました。
外資が排撃されると、
地元企業を買収して次々と販売を拡大し、
遂に年間6000万足という
驚異的な実績をあげるようになったのです。

これにはヨーロッパ資本も
とてものことでは太刀討ちできません。
が、問題は靴だけにとどまらないでしょう。
やがてファッション業界でも
似たようなことが起る可能性は大きいと思います。


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