第1714回
石油高は省エネ産業のチャンスです

産油国が石油の値上げをして
工業国からいくらたくさんお金を搾りとっても、
壁に向ってテニスの練習をしているようなもので、
強く打てば強くはねかえって行くだけだと
第一次石油ショックの時に私は言いました。

もし産油国が貯め込んだドルを
そのまましまいこんで
一切消費を控えたら話は別ですが、
アラブの王様や独裁者たちが
ロールス・ロイスにも乗りたい、
冷暖房の完備した宮殿にも住みたいということであれば、
石油高によって値上がりした工業製品を
買うよりほかありません。
また海水を淡水に換える装置を買いたい、
立派な設備の整った病院を
国民のために建ててやりたいと考えれば、
同じように値上がりした工業製品を
買うよりほかなくなります。
ですから、私は物価の位置が大きく変わるだけで、
日本の国がメシを食えなくなることはありませんと
大きな声を出して言ったのです。

そうは言っても
工業生産に欠くことのできないエネルギーが
大暴騰したのですから、
既存の価格体系は破壊されて物価は倍増するし、
平均賃金でさえ1年で35%も上昇するという
産業界の大型地震ですから、
そのあおりを食って倒産する企業も続出しました。
その中にあって、
日本の大半の企業は生き残りをはかるために、
省エネルギーと省力という2点に搾って
創意工夫をはかったのです。

たとえば、いままでより電力の消費量が半分ですむ
電気冷蔵庫や冷暖房機器をつくるとか、
10キロしか走れなかったエンジンを
15キロとか20キロ走る
省エネ・エンジンに改良することによって、
ガソリンの節約につとめました。
それに対してアメリカの自動車メーカーは、
省エネよりも1台当りの儲けの大きい
大型車の販売に固執したので、
中小型車の市場を日本製の中小型車メーカーに奪われ、
世界における産業地図を
大きく塗りかえることになってしまいました。
一見、わざわいと思われる変化でも、
それに対する対処の仕方をあやまらなければ、
「転じて福となす」ことができるといういい実例です。


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