第1710回
揚子江の水深が40米上がりました
重慶は人口3千万人を擁する世界一の大都会です。
もと四川省に属していましたが、人口が多いので、
何年か前に四川省から分離して、
北京、上海、天津に続く
独立した四大特別市の一つに昇格しました。
四川省に属していた頃は
四川省の1省の人口だけで日本とほぼ同じでしたが、
いまは分離して別の行政区域になっています。
人口が世界一多い町と言われても、
中国人の間では成都ほど有名ではありません。
三峡下りの観光船はこの重慶から出発して
武漢が終点になります。
でも前回の経験で宣昌から先は河幅が広くなって
海を走っているような平凡な感じになって
退屈してしまいます。
それを避けようと思えば
宣昌で船を下りて
直接、上海にとぶ方法がいいと考えました。
ところが、宣昌からとぶ飛行機は
小型で我々の団体を乗せるだけの座席がないと断わられ、
結局、宣昌で下船した後、
これまた高速道路を4時間ほどかけて武漢まで走り、
武漢から上海行きの飛行機に乗って
夕方やっと上海に辿り着きました。
この前、行った時の乗船は朝早くでしたが、
今回は夜の10時になってからの出発です。
私たちの乗った船は乾隆号という
ゴテゴテの中国趣味に改造された老朽船で
メシもうまいとは言えず、
サービスも12年前と大して変わりはありません。
でも揚子江の中で両岸の距離が狭くなった
三つの急所にさしかかると
その度にマイクで知らせてくれたので、
どうしてここが三峡下りと呼ばれているのか、
はっきり教えられました。
ほかでは見られないような雄大な風景が続き、
三度三度のメシのおかずは景色なんだと改めて気がつき、
ごはんの間中、窓の外ばかり眺めて
茶碗の中のものを口の中にかき込みました。
三峡ダムの大工事で
発電用の水を貯める行程がほぼ終えましたので、
揚子江の水位は40メートルも上がり、
河畔に住んでいた人たちの家が
山のかなり上のところに新しく立ち並んでいます。
どうしてあんな高いところに家があるのだろうと
はじめは不思議に思っていましたが、
宣昌に到着して発電所の周辺に
新しく建てられていた住宅用地を見て、
やっと謎がとけました。
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