第1648回
エルドスはいま変身の眞っ只中です

5年ほど前、私が東勝市に行った時、
政府の人から、
「地面を叩くと、下が石炭の層ですよ」
と説明を受けました。
「でも石炭を売ったのではお金にならないので、
 発電をして電力を北京まで送る事業を考えているところです」
と追加説明がありました。

石炭屋がそんなことを考えているのかと思ったら、
石炭屋は石炭のコストを下げることにだけ力を入れて、
石炭に付加価値をつけることに思い至りません。
誰がそこに乗り出すのかと思っていたら、
何とカシミアの生産の独占的なシェアを持っている
エルドスの会社であることが
今度のエルドス市訪問ではっきりしました。

エルドスはカシミアの半分を
輸出にまわしているので、
経営者は世界中と接触があり、
よその国の経済の仕組みを理解しています。
毛織物は世界的に高級化の方向にあり、
世界の3割前後のシェアを占めるエルドスは
有利な地位にあります。
業績もよかったし、高率配当をしてきました。
それなのに最近は利益も低迷、株価も低迷、
どうしてかと思って証券会社に調べてもらったら、
火力発電に手を出して
金利の支払いに追われて業績が下がっている
という報告がかえってきました。

今度、エルドス・カシミアを訪問して
はじめてその謎がとけました。
石炭の産地で石炭を電力にかえて、
最も電力を消耗する金属加工業に使用して
付加価値をつける事業に積極的に乗り出したのが
ほかならぬカシミアの会社だったのです。
そのために莫大な投資をやり、
金利の支払いだけでも
企業の利益を圧迫するほど
巨額にのぼっていたのです。
漸く発電所が完成に近づいて
来年の3月には操業するところまで漕ぎつけました。
カシミアの会社は内モンゴルを代表する
多角経営のコングロマリットに
変身しようとしているのです。
多分、来年の末になったら、
変身の結果がどんな形になるか
はっきりするでしょう。
それを評価する人にとっては
どうするか決める瀬戸際に来ている
ということになります。


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