第1647回
石炭は中国では斜陽産業ではありません

上海B株に上場されている
内モンゴルの伊泰煤炭という
石炭会社の本社まで行ってきました。
宏観調控という金融引締めの眞っ最中であるにも拘らず、
ことしの上半期の利益が前年上半期に比して
313%倍増益になっていることが
私の頭に焼きついているので、
実態を知りたいと思って
わざわざフフホトから4時間もかけて
出かけて行ったのです。
露天掘りをしている作業現場も見たかったのですが、
雨で道が壊われ、バスのタイヤが喰い込むと
動けなくなると説明を受けて、
それだけは断念しました。

しかし、石炭の値上がりにより
炭鉱はどこも空前の利益をあげていることは
予想した通りでした。
鉄鋼業が空前の増産、
電力も万年不足の状態ですから、
その原料になる石炭は値上がりをしているだけでなく、
当分、高止まりのまま品不足が続くと見てよいでしょう。
どこの炭鉱も輸送力の増強と
新しい鉱区の採掘権を確保することに血眼になっています。
だから金融引締めが続いても、
石炭が供給過剰におちいる心配は
当分ないと考えていいでしょう。

ただ面白いことに石炭屋は
石炭に付加価値をつけることよりも、
いかに石炭のコストを下げるかに全精力を集中します。
何しろ石炭のコストの中で、
30%が採掘に要する費用で、
あとの70%は何と輸送に要する運賃です。
従って伊泰煤炭でも鉄道輸送力の増強と
コストダウンに全力を注いでおり、
鉄道の建設に投ずる資金を盛んに問題にしていました。

日本では石炭は
高度成長のはじまる頃から既に
斜陽産業化していましたが、
中国は石炭の不足が続いている上に、
石油が1バレル50ドルをこえるようになると、
石炭の液化も事業として成り立つようになりますから、
石炭が好収益事業の一つであることは
当分、続くと考えてよいでしょう。
中国でも石炭は長い間、
痛めつけられていましたから、
低収益低配当が続きましたが、
これからは収益力の向上によって
配当も改善されるでしょうし、
株配が行なわれることも
視野のうちに入ってきたと見てよいと思います。


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