第1557回
「対酒当歌、人生幾何」は曹操の詩です

たまたま軽井沢の隣りの町で
葡萄酒づくりに打ちこんでいる
玉村豊男さんをお訪ねしたことがあります。
ワイナリーはどうやってつくるのか、
どのくらいお金がかかるのか、
ちゃんとワインができるようになるまでに
どんな困難があるのか、
おききしたいと思って出かけて行ったのです。

昨年から私が
コーヒー園づくりをはじめた雲南省は
茶(プーアルチャ)の産地でもありますが、
葡萄の産地でもあります。
どうせしょっちゅう雲南に行くのなら、
ヨーロッパの富豪たちが
ボルドーにシャトーをつくったように、
こちらも眞似事の域を出ませんが、
雲南にシャトーを建ててみたいと思ったのです。

玉村さんは10年以上も前に
東京を引き払って信州に住み、
ワインの苗木から植えはじめて
やっとワインの搾れるところまで漕ぎつけ、
全財産を傾けて
ワイナリーの建設に情熱を燃やしていることは
雑誌などを通じてよく知っていました。
私がお伺いした時は
ほぼ9分通り完成しており、
付属するレストランで働くことになっている
シェフの手料理までご馳走になりました。
その時、私は何をプレゼントしようかと思案した末に
「対酒当歌、人生幾何」
という額入りの書を持参しました。

読んで字の如く、
「酒を前にして歌をうたおうじゃないか、人生いくばくぞ」
というこの詩句は
実は三国志で悪役をつとめさせられている
曹操のつくったものであります。
曹操は劉備、孫権をだし抜いて天下をとったために、
三国志の中でも京劇でも専ら悪者にされていますが、
本当は学問もあり、人の使い方もうまく、
戦術にもたけた逸材です。
またそうでもなければ、
こんなニヒルな詩が後世まで
遣っているわけもありません。

とても立派な書でしたから、
多分、玉村さんの家のどこかに
かかっていると思いますが、
美味しいワインをたしなみながら
眺めるにふさわしい文句ではないでしょうか。
名文句にはみな
それぞれ歴史の重みが感じられます。



- 対酒当歌 人生幾何 -



※書のご注文は「金言名句」をご覧ください。

 


←前回記事へ 2004年6月14日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ