第1505回
海運、造船は斜陽産業ではありません
素材産業にまだ当分、陽が当るとすれば、
素材産業株が更に高値を続けることが考えれます。
しかし、日本の素材メーカーがそれに気をよくして
強気の設備投資をすることは考えにくく、
(みなコリゴリしているので)やるとすれば、
中国に投資をする形をとることが多いでしょう。
それは合弁の形になるか、
技術指導の形になりますから、
同じ株に投資をするなら
日本の斜陽化した素材メーカーよりも、
中国の素材メーカーにということになります。
最近は日立や東芝をはじめ重電メーカーまで
海外から発注設備の受注をするようになりましたが、
他の設備メーカーに受注恢復の兆しがあるとすれば、
それは国内需要ではなくて、
国内メーカーからの受注を含めて、
グローバルなスケールの商売と考えてよろしいでしょう。
設備や素材メーカーの需要は
一定のサイクルでふえますが、
完成品や消費財は輸入がふえる方向にあります。
あまり遠くない将来に
中国は世界一の石油輸入国になるのですから、
石油を運ぶ仕事だけに限って見ても
大へんな数量になるし、
それらの素材が製品になって
再輸出される量のふえ方を見ても
運送業、海運業は斜陽産業どころか、
当分の間、成長産業として
見なおしていいのではないかと思います。
海運業はもともと
グローバル的に動く仕事ですから
世界的な運賃の値上がりによって
日本の海運業者も軒並み業績を恢復しています。
恐らくその影響をもろに受けて
日本をしのぐ世界一の造船王国になった
韓国の造船業界が
空前のブームを満喫することが考えられます。
それに比べると
中国の造船業界はまだチャチですが、
中国の輸出入が
素材、石油からはじまって製品の輸出まで
中国の海運業者が半独占の状態にありますから、
海運業や運送業は
斜陽産業であるという先入観を
先ず頭から払いのけることです。
中国でいま起っていることは
経済的に先進国である日本の産業界にも
大きな影響を及ぼします。
風はいつも先進国から
一方的に吹いて行くとは限らないのです。
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