第1502回
本格的な景気恢復にはまだまだです
日本の株価が少し戻っています。
鉄とか石油製品とか非鉄金属などの
素材産業が値上がりで
業績が恢復しているのと、
長い長いトンネルをくぐり抜けて
日本の景気がやっと
戻り足になってきたのではないかと期待した外資が
日本株買いに流入しているからです。
素材産業の底入れを見て、
景気の恢復をいまかいまかと
待ちかまえていた政府筋の観測家たちが
「いよいよ日本もデフレから脱出か」
と気の早いことを言っていますが、
残念ながらデフレ傾向に
ストップがかかったわけではありません。
素材産業に陽が当りはじめたのは、
日本の景気がよくなったからではなくて、
中国の高度経済成長が
いよいよ消費経済に突入して
素材不足が目立ってきたからです。
テレビや洗濯機やパソコンから自動車、
マイホームに至るまで
中国大陸では量産に拍車がかかっていますが、
完成品のメーカーが
製品の値上げのできる情況にはおかれていません。
したがって完成品メーカーは
売値は据え置いて
原料高を自分たちが吸収する必要に迫られています。
その上に人民元の切り上げが重なったら
輸出業者はきびしい状態まで追い込まれる心配があります。
反対に素材メーカーは
鉄やアルミから石油製品まで
需要に追いつかないので、
製品の値上がりで
利益が50%から倍増というのも珍しくなく、
株主は株価の値上がりによっていい思いをしました。
でもこれらの素材メーカーが
増産にふみきるにも時間がかかるし、
需要は急に減退する可能性も低いので、
少くとも来年、再来年まで好況が続くことが考えられます。
但し、それが日本の消費につながって行く見込みは低いので、
円高になれば円高になった分だけ
輸出に悪影響をあたえ、
マイナスに作用することも考えられるでしょう。
したがって日本の株が上がると言っても、
素材産業とか、海運業とか、証券業とか
ごく一部に限られ、
全面高にはつながらないだろうというのが私の見方です。
投資するならこれらの業種ということになりますが、
上がれば売りというのがプロの本音かも知れません。
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