第1491回
ビジネスホテルは私が命名したものです

自分が生かじりに経験して成功したことを
すぐ大きな声で人に吹聴するのが私の悪い癖です。
折角の金儲けのタネですから
自慢する代わりに自分だけでこっそり実行したら、
私はいまよりずっと大金持ちになっていた筈です。

ビジネスホテルをつくった時がそうでした。
経済が発展して
物価もサラリーもドンドン値上がりしている時に
ただ一つ取り残されていたのは
サラリーマンの出張旅費でした。
帝国ホテルやホテル・オークラの
シングルの1泊の部屋代が5000円に
サービス料と税金を加えて6000円だった時代に、
サラリーマンの出張費は3000円しかありませんでした。
だからサラリーマンは出張を命ぜられると、
眞っ先に頭に浮ぶのは
「出張して何をするのか」
という仕事の内容ですが、
次に考えるのは
「足が出るぞ」ということでした。
東京に親戚か親しい友人があれば、
そこへ泊めてもらえばいいのですが、
そういう場合だって、
手ぶらで行くわけには行きません。
どうしてもホテルに泊らなければならない人は、
不足分を埋め合わせる方法を
考えなければならなかったのです。

そして私は何とか
税、サービス料込み3000円で
泊れるホテルはつくれまいかと考えました。
ホテルである以上、
プライバシーは必要ですから、
部屋の大きさは
人が1人入れる程度でもかまいませんが、
電話とバスルームとテレビは必要です。
当時ハヤっていたスバル360のホテル版と思ったら
わかりやすいでしょう。
でも安あがりにするためには
ロビーとかレストランとか、
不要不急の施設は切り詰められる物は
全部切り詰めなければなりませんでした。

そういうホテルは
ビジネスマンの泊まるホテルですから、
私が建てたホテルに
「ビジネスホテル」という名をつけたのです。
日本中どこにもビジネスホテルのなかった時ですから、
私がこのアイデアを人に言わずに
こっそり次々と建てて行ったら、
今頃はヒルトンと並ぶ
ビジネスホテル王になっていたに違いありません。
でも私はそうはしなかったのです。


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