第1398回
組む相手を間違えないで下さい

パンとケーキの店を1軒ひらいても
売り上げは知れています。
一日に10万円売り上げがあれば
何とか成り立って行くでしょうが、
2軒、3軒とひろげて行くのは
容易なことではありません。
ましてやコーヒーハウスの片手間の仕事ということになったら、
採算にのせるだけでも
心配のタネになってしまいます。

したがって
どうしても外売に力を入れなければなりません。
といって日本人が出かけて行って
セールスをやったのでは
とてもそこまで手が届きませんし、
中国の国営事業と組んだのでは
相手がお役人みたいなものですから
もっと言うことをきいてくれません。
私たちの場合もよそ者ですが、
北京でお客相手の商売をして
もう5年にもなりますので、
土地の事情にはかなり通ずるようになりました。
また台湾の人は言葉がそのまま通ずるし、
現地の人たちの気心も大体、わかっています。
なかに台湾のプチで
パンとケーキをつくる現場から叩き上げた者が
幹部として働いていますので、
セールスマンを使って
各ホテルやコーヒーハウスに売り込みに行くこともできます。
中国の商売で一番難しいのは
販売代金の回収ですが、
商品に魅力があれば仕入れる方も譲歩しますから、
そんなにひどい目にはあわないですむと思います。

日本人がわざわざ中国まで乗り込んで
中国人にもすぐ眞似のできる仕事で成功しようと思えば、
あとは徹頭徹尾、品質で勝負をするよりほかありません。
パンならいま中国で生産されるパン粉では
おいしいものができないし、
ケーキなら冷凍技術に左右されますから
ヨーロッパの冷凍設備を輸入する必要があるかも知れません。
同じパン製造機械でも、
現地製は日本製の3分の1の値段ですから、
とちらを使うかで品質にも影響しますが、
コストにも響きます。
外国で事業をはじめる時は
この両者を天秤にかけて
うまく調整することが要求されます。
とりわけ人に恵まれるかどうかで
成功するかどうかが大きく左右されます。
今回は偶然にも、
双方の人材に恵まれましたので、
時間はかかるでしょうが
目標にすすむことができそうです。


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