第1372回
カードの誘惑に負けない自制心が必要

子供の時にお金の始末を
自分できちんとやることを覚えないと、
高校生になっても、大学生になっても、
また社会に出てからも、
その能力が身につきません。

いまはカードの時代ですから、
収入が伴わないのに、
お金を先に使わせるような誘惑が
あちこちから仕かけられます。
携帯電話が普及するのは仕方がないとしても、
おしゃべりをしたツケが払えなくなったり、
カードで買った物のお金が払えなくなってしまいます。
払うお金がポケットの中になければ、
料理屋やバーに入って注文をするものではないと
私は堅く信じていますので、
長い間、カードすら持ちませんでした。

でも、外国旅行に行ってカードがないと
ホテルの予約もできないことを知って
漸くカードをつくりましたが、
国内で食事やデパートに行っても
長い間、カードは使いませんでした。
デパートのカードで割引のある場合でも、
カードで割引をしてもらって現金で支払いをしました。
そのうちにカードで買って
年間に一定額をこえると
更に割引をする制度ができると
やむを得ずカードでサインをするようになりましたが、
克己心のない人は
さぞやひどい目にあわされるだろうなと
サインをする度に苦笑を禁じ得ません。
アメリカから輸入されたシステムとは言え、
カードは本当に「人泣かせな文明の利器」と
お考えになりませんか。

サラリーローンは
その延長線上にある経済観念のない人を
奈落の底におとし入れる
豊かな社会のおとし穴と言ってよいでしょう。
そうした商売が成り立つ新しいスキマができた以上、
その存在を否定することはできませんが、
そのお世話にならないですむように、
自分だけでなく、
自分の子供たちも訓練をする必要があります。
カードを持たないのではなくて、
カードをポケットの中に入れていても、
それによって被害を蒙らないような自制心を
養成することが大切だということです。