第1358回
私が30才ならベトナムを研究します

アフガニスタンやイラクの戦争に続く
テロや混乱を見ていると、
国と国が争っているというよりも、
貧乏国と金持国がそれぞれの言い分を譲らずに
生命を賭けた泥試合をやっている感じです。
もし金持ちの国がお金や生産手段を提供することによって
貧乏な国を豊かにすることができるものなら、
まだ何とか解決の道がひらけるでしょうが、
アフガニスタンやイラクの国民に
そういう能力も意志もないとすれば、
南北問題は解決の糸口を見つけることができないばかりでなく、
ゲリラやテロが今後も長く続くことが考えられます。

それに比べると、
中国に隣接するベトナムとか、
ミャンマーといった国々は、
マレーシアやタイが一足先に工業化に成功して
国民所得をふやしたあとを追って
少しずつ豊かになって行く可能性があります。
短い間に超高層ビルが林立するようになった上海や北京とは
比べ物になりませんが、
工業団地も次々と開発されていますし、
そこへ日本や台湾や韓国から労働集約的な業種を先頭に
企業進出がはじまっています。
ベトナム人は系列的には日本人や福建人や広東人と近く、
風貌も似ていますが、
人柄や労働意欲でもそう見劣りしません。
ですから北朝鮮も含めて
文明国と水と油の関係にあるわけではなく、
いずれアジアの時代の仲間入りをする立場にあります。

そうはいっても、ホーチミン市
(この土地の人たちはいまでもサイゴンと呼んでいます)
で見学に行った証券取引所は
見すぼらしい建物の中にあって、
上場企業も僅か22社しかありませんでした。
それも運送会社とか冷凍庫とか食品会社が
出来高の多い人気株で、
既に進出してかなりの実績をあげている
外国企業や合弁会社は
まだ1社も上場していません。
海外からの投資にしても
資金を持ち込んでから1年は
持ち出せないことになっていますから、
まだ誰も寄りつかないのが現状だと言ってよいでしょう。
一緒に行った人たちはみなびっくりしていましたが、
でも本当はこういう状態からスタートすると、
小資本で大をなすチャンスがあります。
私がいま30才なら研究に値するなあと思いました。


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