第1357回
ベトナムは10何年前の中国に似ています

10年ぶりにベトナムに行ってきました。
実は中国投資に本格的に乗り出す前に、
やがて日本の生産基地が
海外に移ることを念頭において、
東南アジアから中国大陸を一通り見てまわったのです。
フィリピン、インドネシア、マレーシア、
シンガポール、タイ、ミャンマーと
現地を自分の目で見てまわって、
結局は中国が本命になるだろうと考えて、
中国に一極集中した形の投資をやったのです。

あれから10年あまりの歳月が経過し、
中国が次の高度成長のチャンピオンであることが、
誰の目にも明らかになりました。
日本の高度成長の時も
日本のおこぼれが日本の旧植民地時代だった
台湾と韓国にまわりましたが、
同じことが中国にも起るとすれば、
中国が消化しきれない低レベルの生産事業は
ベトナムとミャンマーが引き受けることになるだろうと
私は予感しています。

そういう考え方が頭を離れなかったので、
私は久しぶりにベトナムに行く気を起したのです。
ちょうど出発する前日に
朝日新聞の日曜日家庭欄にある
「私のいる時間」の取材があったので、
そのインタービューに応じたあと、
北京、上海、とまわって香港で皆とおちあい、
団体でハノイに乗り込みました。
10年ぶりのハノイですが、
ベトナムは8000万人も人口のあるところなので、
相変らずの人また人とオートバイの壮絶な流れです。

でも道はまだ近代都市のレベルには整理されていないし、
高層建築も新築のホテル以外はほとんど見当りません。
ただかつては2000ドルもしていたホンダやスズキや
ヤマハのオートバイは半値に下がったし、
そこへ中国の安いオートバイが
大量に割り込んできたので
500ドルのオートバイも見かけるようになり、
それと似たような形の工業化がはじまろうとしています。
中国とはすぐ隣りで、
広東省や広西省の観光バスも乗り込んでいるし、
かつて戦争の相手だった
アメリカ資本の進出も目立っています。
10何年前の中国の雰囲気を思わせる盛り上がりがありました。


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