第1261回
味と温度は企業化のテーマです

ワインは15度で保存すると、
10年から20年かけて飲み頃の味になると言われています。
ボルドーに行った折り、
そういう穴倉の中に案内してもらったことがあります。
説明をされれば、なるほど、そういうものかと納得しますが、
ではワインを買ったパリジャンヌたちが
その通りにワインを長期にわたって保存しているかというと
首をかしげたくなります。
住宅事情の悪いパリで
はたして効能書き通りに上等のワインを
穴倉の中に貯蔵している人がどれだけいるでしょうか。
ケチで計算高いフランス人のことですから、
恐らく大半のパリジャンヌたちは
ナポレオンの時代から建っている
古い建物のうす暗い地下室の少し温度の低いところに
放置してきたのではないでしょうか。
それでも一定の時間を経過すれば、
飲み頃になるのが経験的に身についた
生活の智恵だったのではないでしょうか。
ワインは電力を使った
ワイン・クーラーが発明されるずっと以前から
愛飲されてきたものですから。

またサラダに使われている野菜は4度に保つと
一番鮮度のいい状態が保たれるようです。
レストランがチェーン店化して、
セントラル・キッチンで調理した料理を
お客に出す店まで運び込むようになると、
庖丁を入れて時間がたっても
庖丁を入れたばかりと同じ味に保つ必要があり、
色々研究をした結果、
そうした結論が出されています。
もしそうだとしたら、
どんな食品はどんな温度に保って運搬すればよいのか、
またどんな温度に調節して貯蔵すればよいのか、
それに合わせた評価も必要になります。
食品と温度の関係はこれからもっともっと研究されて
然るべき分野の学問であると言ってよいと思います。

そういう分野も含めて、
食品の保存からゴミの処理に至るまで
温度と大きなかかわりがあるとすれば、
これはグローバル化時代を生きる人々の
大きな研究テーマであります。
学問の対象というばかりでなく、
食品の保存から病気の治療まで
次の時代の金儲けのネタになると考えて
よいのではないでしょうか。


←前回記事へ

2003年8月23日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ